注文住宅を建てる際、デザイン性や機能性、コストなど、さまざまな要素を考慮して選ぶのが外壁材です。
近年、特に人気を集めているのがガルバリウム鋼板で、「ガルバ最強」といった声も聞かれるほど注目されています。
でも、本当にガルバリウム鋼板は「最強」なのでしょうか?
この記事では、ガルバリウム鋼板のメリットとデメリットを徹底的に解説します。
さらに、ガルバリウム鋼板以外の主要な外壁材の種類や特徴も比較しながら、あなたの理想の住まいに最適な外壁材を選ぶためのヒントをご紹介します。
1. 注目度No.1!ガルバリウム鋼板の「真実」とは?

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい
1-1. ガルバリウム鋼板ってどんな素材?
ガルバリウム鋼板は、1970年代にアメリカで開発された比較的新しい金属鋼板です。
アルミニウム、亜鉛、シリコンでメッキ・コーティングされており、一般的なトタンに比べて約5~6倍も錆びにくいとされています。
特筆すべきはその「自己修復効果」です。
亜鉛の働きにより、たとえ傷がついても赤錆ではなく、グレーっぽい亜鉛の錆が鉄を覆い、錆の進行を抑えてくれるんです。
また、塗装の密着性が高いため、豊富なカラーバリエーションが実現されており、色剥がれに強く耐久性にも貢献しています。
1-2. ガルバリウム鋼板の「メリット」

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ガルバリウム鋼板の最大の魅力は、その軽さにあります。
非常に薄く軽いため建物への負荷が少なく、耐震性に優れているという大きなメリットがあります。
地震が多い日本においては、これは非常に重要なポイントです。
他にも、錆びにくく塗装も剥がれにくいため、比較的メンテナンスの手間が少ない高い耐久性が期待できます。
コスト面では、他の外壁材と比較して比較的費用を抑えて施工できる傾向にあるのも嬉しい点です。
デザイン面では、シャープでスタイリッシュな見た目がモダンな住宅と相性が良く、特に「箱型」の家を好む方に人気があります。
1-3. 知っておきたいガルバリウム鋼板の「デメリット」

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「最強」と言われるガルバリウム鋼板ですが、もちろんデメリットもあります。
まず、薄い金属板のため、物がぶつかったりすると車のように凹みやすいという点です。
補修には板金塗装が必要になる場合もあります。
また、金属素材のため、断熱材が入っていないタイプの場合、熱が伝わりやすく、夏場の表面温度上昇には注意が必要です。
塩害や鉄粉にも注意しましょう。
海沿いの地域や線路に近い場所では、塩分や鉄粉が付着することで錆が発生する可能性があります。
特に淡路島のように潮風が強い地域では、この点は意識しておきたいところです。
表面塗膜の保証期間は、メーカーによって異なりますが、美観保証は10年程度の場合が多いです。
色褪せは性能に問題ないものの、経年による色の変化は覚悟しておく必要があります。
施工面では、サイディングに比べて割り付けが難しく、手間がかかる場合があります。
もし長い一枚板を希望する場合は、運送費などのコストが増える可能性も考慮が必要です。
標準品(約3m)を使用すると、2階建ての場合、階の途中に継ぎ目が出る可能性がありますが、シーリングレスや特注品で対応することも可能です(その分コストは上がります)。
2. ガルバリウム鋼板だけじゃない!外壁材の種類と特徴

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日本の住宅で最も普及している「窯業系サイディング」をはじめ、その他の外壁材も詳しく見ていきましょう。
2-1. 日本で最も普及「窯業系サイディング」

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窯業系サイディングは、セメント質と繊維質を主原料とし、特殊な方法で製造される外壁材です。
石目調、木目調、タイル調など、デザインやカラーが非常に豊富で、選択肢が多いのが特徴です。
中にはガルバリウム鋼板のようなデザインを再現した製品もあります。
普及率が高いことから施工する職人が多く、比較的安価で施工できる傾向にあります。
昔のイメージとは異なり、現在の窯業系サイディングは、30年保証の塗膜やシーリング(目地材)を使わない「シーリングレス工法」など、耐久性が大幅に向上しています。
デメリットとしては、ガルバリウム鋼板に比べて重量があり、建物への負担が大きくなる可能性がある点です。
また、シーリング(目地材)が使われている場合は、定期的なメンテナンスが必要になる場合もあります。
2-2. 自然素材の温かみ「焼杉」

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焼杉は、西日本を中心に古くから伝わる伝統的な外壁材です。
杉の表面を焼いて炭化させることで、腐食菌や害虫の発生を防ぎ、耐久性を高めています。
昔ながらの家では、何十年もメンテナンスなしで使われているケースも多く見られるほど、メンテナンスフリーに近く、高い耐久性を持っています。
自然素材ならではの温かみがあり、近年ではモダンなデザインのアクセントとしても人気です。
ただし、表面が炭化しているため、触ると手が汚れる可能性があります。
また、経年変化で色味が薄れるなど「味」が出ると捉えるか、劣化と捉えるかは個人の価値観によるでしょう。
保証期間が設定されていないことがほとんどです。
2-3. 最強の耐久性「タイル」

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タイルは、陶磁器製で非常に高い耐久性を持つ外壁材です。
汚れにくく、色褪せもほとんどありません。焼き物であるため、数百年、数千年単位での耐久性を持つと言われ、長期的に見てメンテナンス費用を抑えられます。
施工方法としては、サイディングを下地としてタイルを貼り付ける工法や、引っ掛けタイプのタイルもあります。
デメリットとしては、他の外壁材に比べて初期費用が高額になりがちな点です。
また、重量が重いため、建物への負担を考慮した構造設計が必要です。
接着剤で圧着するタイプの場合、接着剤の劣化によるタイルの浮きや剥がれに注意が必要です。
寒冷地では、目地の裏側に水が回り込み凍結することでタイルが剥がれるリスクもあります。
2-4. 塗り壁の風合い「モルタル」

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モルタルは、セメント、砂、水を混ぜて作るモルタルを塗布して仕上げる外壁です。
温かみのあるデザインや、洋風の住宅にマッチします。
吹き付けやコテむらをつけることで、さまざまな表情を作り出すことができるのも魅力です。
以前はクラック(ひび割れ)が発生しやすいという課題がありましたが、近年ではサイディングを下地にするなど、ひび割れを抑える工夫がされています。
ただし、定期的な塗り替えなどのメンテナンスが必要になります。
2-5. その他の外壁材「ファサードラタン」

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ファサードラタンは、木材を格子状に組んで外壁に貼るデザインです。
木の温かみを表現しながら、通気性も確保できます。
メンテナンス性も考慮し、手の届く範囲や1階部分など、メンテナンスしやすい範囲でアクセントとして取り入れるのがおすすめです。
3. あなたに最適な外壁材を見つけるためのポイント

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外壁材選びは、予算、デザイン、そして立地の3つの要素を総合的に考慮することが重要です。
- 予算: 初期費用だけでなく、将来のメンテナンス費用を含めたトータルコストを把握しましょう。
- デザイン: どのような外観イメージにしたいですか?モダン、ナチュラル、洋風など、理想のデザインに合う素材を選びましょう。
- 立地環境: 家の周辺は塩害を受けやすい地域ですか?交通量が多く、排気ガスや鉄粉が飛びやすい場所ですか?日当たりは?家の周辺環境を考慮し、それに強い外壁材を選ぶことが大切です。
まとめ:後悔しない外壁選びのために

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ガルバリウム鋼板は多くのメリットを持つ魅力的な外壁材ですが、デメリットも存在します。
また、窯業系サイディングや焼杉、タイル、モルタルなど、それぞれに一長一短があります。
「最強の外壁材」というものは存在しません。
大切なのは、あなたのライフスタイルや理想のデザイン、そして家の立つ場所に合わせて、最適な外壁材を組み合わせることです。
ぜひ、今回ご紹介した情報を参考に、後悔しない外壁選びを実現してください。