夢の注文住宅を建てるって、本当にワクワクしますよね。あれこれ設備を導入したくなる気持ち、とってもよくわかります。
ハウスメーカーや工務店の方も、よかれと思って色々な提案をしてくれるでしょう。
でも、それを鵜呑みにして明確な目的もなく採用してしまうと、入居後に「これ、無駄だったな…」と後悔することって実は少なくないんです。
無駄と感じるだけならまだいいのですが、限られた床面積や予算を有効に使うことを考えると、「あれをつけなければ、もっといい家になったかもしれないのに」という設備もあります。
この記事では、あなたが家を建てる前に冷静になって考えてほしい「無駄な設備」13選を徹底解説します。ぜひ最後まで読んで、後悔のない理想の家づくりを実現してください。
- 無駄設備01:無目的な「吹き抜け」
- 無駄設備02:高コストで使わない「床暖房」
- 無駄設備03:オーバースペックな「壁かけエアコン」
- 無駄設備04:「勾配が急すぎる」スロープ
- 無駄設備05:同線が不適切な「広いトイレ」
- 無駄設備06:修理費が高くつく「タンクレストイレ」
- 無駄設備07:使い勝手が悪い「玄関手洗い」
- 無駄設備08:スペースの無駄遣い「シューズクローク」
- 無駄設備09:靴に隠れる「玄関の間接照明」
- 無駄設備10:家事同線を悪化させる「セパレートキッチン」
- 無駄設備11:機能性を損なう「キッチンの引き戸収納」
- 無駄設備12:使われずコストだけかかる「バルコニー」
- 無駄設備13:将来の変更が難しい「造作家具」
- まとめ
無駄設備01:無目的な「吹き抜け」

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい
吹き抜けは、開放感を演出できて日当たりも良くなるため、注文住宅ではとても人気があります。
ただ、「憧れているから」という明確な目的を持たずに採用してしまうと、思わぬ暮らしにくさを感じることがあります。
今回は、玄関とリビングの吹き抜けについて見ていきましょう。
玄関吹き抜けの落とし穴 私が設計を始めた90年代は、玄関吹き抜けが全盛期でした。
バブルの余韻もあって、ゴージャス感を演出するためによく採用されていましたが、最近はほとんど見かけません。
豪華さよりも、照明や素材感で見せる手法が好まれているためです。
特に、南側玄関に吹き抜けを設ける場合は注意が必要です。
明るい玄関にはなるかもしれませんが、2階の北側の部屋は、玄関吹き抜けがあることで南窓を設けることができません。
つまり、玄関吹き抜けがあることで暗い部屋が増えてしまう可能性があるんです。
リビング吹き抜けの落とし穴 リビングの吹き抜けは、日当たりや開放感を目的にするなら、メリットを感じやすいので「無駄」とは言えません。
特に南側に立地がある場合は、提案することもあります。
しかし、「家族の気配が分かるようにしたい」「コミュニケーションをしやすくしたい」という理由での採用は、おすすめしません。
子どもの成長につれて、個々のプライバシーが大事になります。吹き抜けに面する個室はリビングの音が聞こえやすく、また個室の音もリビングに漏れるからです。
在宅勤務のオンライン打ち合わせの声や、子どもが友達や恋人と電話で話す声、さらには夫婦の営みの音まで、気になるかもしれません。
解決策・代替案 吹き抜けのデメリットを回避する最も有効な方法は、吹き抜けを壁で囲うことです。
壁で塞いだ上で室内窓を設置すれば、2階のホールに自然光を入れつつ、音問題や匂い問題、暖房効率の悪さといった吹き抜けのデメリットは解消できます。
また、吹き抜けを設置するなら、必ず断熱等性能等級5(ZEHや長期優良住宅と同等性能)をクリアするようにしてください。
これをクリアしないと、冬場に1階がなかなか温まらないという事態になります。
無駄設備02:高コストで使わない「床暖房」

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床暖房に憧れている人は多いですが、つけてみたものの毎月の電気代やガス代がもったいなくて、ほぼ使わないということがよくあります。
特に光熱費が高騰している現在、ランニングコストの高さは家計にとって大きな痛手です。
不要になった背景 20年前は、断熱性能が低かったため、吹き抜けを設置する場合は床暖房が必須というのが常識でした。
しかし、この10年で断熱気密性が大幅に向上し、断熱等性能等級5以上で高気密であれば、エアコンでも十分快適に過ごせるようになりました。
そのため、床暖房をつけなければならないという状況はなくなったと言えます。
賢いお金の使い方 私は、床暖房にお金を使う前に、断熱と日当たりをしっかり確保することを推奨します。
断熱と日当たりは、一度確保してしまえばランニングコストもメンテナンスコストもかからないため、投資効果がとても高いからです。
もし採用するなら、一条工務店のように高気密で等級6や7をクリアした上で、全面床暖房であれば、ランニングコストも低く抑えられます。
要は、きちんと性能を確保した上で設置することが重要です。
部分的に採用する場合は、テーブルやソファの位置を想定した上で配置を決めないと、座った時に足元が暖かくないという残念なことになりがちなので注意しましょう。
無駄設備03:オーバースペックな「壁かけエアコン」

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「部屋の畳数に合わせてエアコンを選ぶ」これは一見当たり前のように聞こえますが、実はかなりのオーバースペックになることが多いんです。
カタログで表記されている畳数表示は、1964年に決まってから一度も変わっていません。
無断熱住宅も多かった当時の基準ですから、それを現在の高断熱住宅に置き換えると、どれだけオーバースペックになるか想像できますよね。
具体例で見る過剰なエアコン選び 松尾和也さんが執筆された『本当は安いエコハウス』によれば、東京にある断熱等性能等級4の住宅の場合、18畳の部屋に必要なのは6畳用のエアコンということになります。
なんと、1/3の容量で済むんです。
ただし、この計算は暖房の計算であって、冷房は日射によって大きく変わるため計算がとても難しいです。
日射遮蔽を考えずに東西に大きな窓を設置しているような間取りの場合、冷房のために大容量のエアコンが必要になることもあります。
賢いエアコン選び 断熱等性能等級4の住宅であれば、日射遮蔽を考えた間取りにした上で、エアコン容量を2〜3ランク下げることを検討しても良いでしょう。
例えば、18畳の部屋に12畳や14畳のエアコンを購入する感じです。
これでもかなり余裕を持ってエアコンを設定していることになりますよ。
無駄設備04:「勾配が急すぎる」スロープ

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バリアフリー対策としてスロープを検討する方は多いです。
段差解消ができ、老後の手押し車や車椅子、ベビーカーなども使いやすいというメリットがあるように思えるかもしれません。
しかし、多くのスロープ計画で見逃されているのが「勾配」です。
「なんちゃって」バリアフリーの典型
本当に急な勾配のスロープにしている外構計画が多いんですよね。
これではスロープというより「急な坂道」です。
公共施設のスロープは1/12勾配(1m登るために12mのスロープが必要)が一般的ですが、住宅では1/4勾配なども見かけます。
1/4勾配では車椅子を自装するのは難しく、介助も大変です。
しかも、車椅子の展開スペースなどが考慮されていないことも多々あります。
このようなスロープは、設置はしたものの「全然使えない」という事態になりがちです。
さらに最悪なのは、階段なしでスロープのみで玄関ポーチを上る計画です。これは健常な人が上り下りしにくく、雨や雪の日には転んで怪我をする危険さえあります。
また、玄関にスロープを設置しても、玄関土間と床部分で20cm程度の段差が残ることが多く、完全な段差解消は難しいです。
解決策・代替案 スロープは、正しく計画するのであれば有用です。
理想的なのは、緩い勾配(例えば1/8程度)のスロープで、段差なしでリビングに入れる形です。
スロープは設置すれば良いというものではありません。
「なんちゃってバリアフリー」にならないように、実際の使い勝手を考えた上で計画しましょう。
無駄設備05:同線が不適切な「広いトイレ」

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「広いトイレ」も、スロープと同じく「なんちゃってバリアフリー」になりやすい設備です。
バリアフリートイレの「正解」と「落とし穴」 バリアフリートイレのポイントは、単に広さだけでなく「同線」にあります。
バリアフリートイレの基本は、横からトイレに入る形です。
一方で、「なんちゃってバリアフリー」のトイレは、広さはあるものの正面から入る同線になっていることが多いんです。
なぜこれがダメかというと、車椅子でトイレまで来た場合、便器に乗り換えるには180度展開しなければならず、本人も介助する人も大変だからです。
TOTOが出しているバリアフリーカタログでも、この間取りは原則避けた方が良いと記載されており、設計の常識とされています。
解決策・代替案
バリアフリートイレにしたい場合は、1畳程度の一般的なトイレの大きさで十分です。
重要なのは、「横から入る引き戸にする」ことと、「引き戸の有効開口は75cm以上にする」ことの2点です。
これらを守ることで、本当に使いやすいバリアフリートイレが実現します。
無駄設備06:修理費が高くつく「タンクレストイレ」

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タンクレストイレは、デザインがかっこよくて省スペース、アラウーノのように自動洗浄できるタイプもあり、家事時短にもなると人気です。
これを「無駄」って何?と思った方もいるかもしれません。私も以前はそう思っていました。
隠れた高コストリスク
しかし、タンクレストイレには重大な問題があります。
それは、一度壊れたら全て交換になる可能性が高いということです。
タンクありのトイレは、多少壊れても自分で直せたり、ウォシュレット部分だけ交換できたりします。
しかし、タンクレストイレの場合、便器とウォシュレットが一体なので、壊れたら最後、全て交換となることが多いんです。
20年くらい経つと交換部品もないことが多く、買い替えが必要です。
20年使ったから交換は当然、と思う方は全く問題ありません。
しかし、家が建ってから20年というと、お子さんにお金がかかる時期だったりして、大きな出費は痛いものです。
解決策・代替案
もしご自宅に2つトイレを設ける場合は、1つはタンクありにすることをおすすめします。
停電時などには、タンクありトイレの方が説明書などを見ずに直感的に使えるというメリットもありますよ。
無駄設備07:使い勝手が悪い「玄関手洗い」

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近年、某建材メーカーが大量にCMを流した影響もあって、玄関手洗いを設置したいという方がとても増えました。
確かに感染症対策としては優秀な玄関手洗いですが、使い勝手やデザイン性を考えると「無駄」どころか「害悪」でしかないものも多かったです。
残念な玄関手洗い
例えば、下駄箱横にある「ただいま洗面台」と呼ばれるもの。
確かに帰宅してすぐ手洗いができそうですが、実際に帰宅してすぐ手洗いってしますか?
冬ならまずコートを脱ぎたいと思うでしょうし、買い物してきたなら買い物袋をとりあえずキッチンまで置きたいと考えるかもしれません。
家族で帰宅した場合、手洗い渋滞が起きることも考えられます。
このような商品は、タオルかけもなく、ハンドソープを置くスペースもない白物が多く、コップも置けないのでうがいすらできません。
何より、この位置に手洗いがあること自体がデザイン的に残念なことが多いです。
そして極めつけは、玄関から数歩歩いた場所に洗面所があること。普通、そっちを使いますよね。
考えるべきこと
感染症対策という意味では、玄関手洗いが大事なのではなくて、手洗いができることそのものが重要です。
また、帰宅時に自分たちがどのように動くかを考える必要があります。
流行りやイメージだけで飛びつかず、ライフスタイルに合った配置を検討しましょう。
無駄設備08:スペースの無駄遣い「シューズクローク」

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シューズクロークは、他の動画でも話していますが、実は「無駄」になりやすい設備です。
特にウォークスルーのシューズクロークは失敗しているケースが多いんです。
「作ってみたものの、裏玄関として使わず、表玄関ばかり使っている」という話をよく聞きます。
残念なシューズクローク
住友林業の広告に使われていた間取りを例にすると、帰宅動線が遠回りになったり、普通の玄関よりも狭くなったりする問題があります。
冷静に考えると、アパートのような狭い裏玄関よりも、広いメインの玄関を使いたくなりますよね。
特に小さい子どもがいる場合は、こんな狭いシューズクロークで靴の脱ぎ履きのサポートなんてできません。
また、30坪程度の住宅の場合、玄関に使う面積が大きくなりすぎてしまうというデメリットもあります。
玄関が広いのはいいですが、そのせいでリビングが極端に狭くなってしまう事例もありました。
解決策・代替案
もちろん、これらの問題を解決している快適なシューズクロークもあります。
しかし、3000件以上の間取り診断をしてきた経験からすると、8割くらいのシューズクロークは無駄だったり、ない方が良いと言えるものでした。
採用時は十分に検討してください。
無駄設備09:靴に隠れる「玄関の間接照明」

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ここで言う玄関の間接照明とは、玄関の上がり框(かまち)や玄関収納の下に入れる間接照明のことです。
「おしゃれ」が「残念」に変わる瞬間
なぜこれがダメかというと、特に一般的な大きさの玄関の場合、この照明がある部分って、実際何が置かれると思いますか?
普通は、靴、靴、靴…と、靴で溢れていることが多くないですか?
こうなると、靴で間接照明が隠れてしまいますし、靴を照らす感じになるので、かえって雑然さが際立ってしまうんです。
もちろん、シューズクロークを採用して表玄関には何も置かない、という徹底した運用ができるならありかもしれません。
解決策・代替案
もし間接照明にお金をかけるのであれば、玄関の正面の壁に「高熱照明」を入れる方が良いでしょう。
高熱照明とは、天井に埋め込む間接照明のことで、視線が集まる壁を明るくして華やかに演出することができます。
これなら、靴の雑然さは目立ちませんよね。
無駄設備10:家事同線を悪化させる「セパレートキッチン」

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最近、「セパレートキッチンを使いたい」という方が増えています。
SNS前提で「映え」を気にする人が増えたからかなと思うのですが、ちゃんと料理をする人で、かつ家事時短したいなら、あまりおすすめしません。
単純に他のキッチンと比較して使い勝手が悪いからです。
これは全て「動線」で説明できます。
セパレートキッチンの非効率な動線
例えば、セパレートキッチンで4人分のラーメンを作ったとします。
鍋に水を入れて振り返りながらコンロに移動させ、沸いたら麺を入れて茹で、また振り返りながらザルにお湯と麺を投入して湯切りをする…。
この動き、結構面倒ではないですか?
切った野菜を炒める時も、この振り返る作業が出てきます。
野菜が濡れている場合などは、床に水が落ちることもありそうです。
これに対して、一般的なキッチンは動線がとてもシンプルです。
シンクとコンロの間を水平移動するだけ。
多少水がこぼれてもキッチンの上なので気になりません。
セパレートキッチンの場合は床が汚れることになるので大惨事です。
このように、家事で楽することを考えると、セパレートキッチンにする理由はほぼないことがわかります。
向いているケースとシミュレーションのすすめ
ただ、セパレートキッチンは、デザイン性を優先したい場合、アイランド部分にコンロがないので危なくない、自宅でパン教室をやるのに向いている、そもそもさほど料理をしない、といった場合には向いています。
よく理解した上で採用するようにしましょう。
できれば採用前に、ショールームなどで実際の調理の動きをシミュレーションしてみるのが良いでしょう。
無駄設備11:機能性を損なう「キッチンの引き戸収納」

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キッチンの引き戸収納と聞いてもイメージしにくいかもしれませんが、南海プライウッドさんの写真にあるような、4枚引き違い戸で生活感を完全に隠せるタイプです。
とてもかっこよくて、「むっちゃすっきりしそう!」と思いますよね。しかし、私は全力で止めることが多い設備です。
引き戸収納の3つの問題点 理由は3つあります。
- 冷蔵庫を中にしまうと冷却効率が悪化するためNG。これは絶対にやってはいけないことです。
- 炊飯器を予約してしまうと、湯気を逃がすために引き戸を解放しなければならない。タイマーセットして出かけるといった場合には、冷蔵庫と炊飯器部分の引き戸2枚分を開けておく必要があります。これでは生活感を隠すどころではありません。
- 食材や食器の出し入れ、家電の利用時に1アクション、2アクション追加される。4枚引き戸の場合、解放できるのが2枚分だけなので、ここにある食材が欲しいという場合でも、全ての引き戸を引く必要があり、なかなか大変です。
解決策・代替案
冷蔵庫は外に出した上で、3枚引き戸を採用することをお勧めします。
3枚引き戸なら収納を解放できるスペースが倍に増え、4枚引き戸よりはずっとマシです。
キッチンの背面の引き戸は、このようにシミュレーションした上で採用を決めた方が良いです。
こだわりがないなら、普通のカップボードにした方が無難でしょう。
無駄設備12:使われずコストだけかかる「バルコニー」

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一戸建て住宅で標準的についていることが多いのがバルコニーです。
これまで洗濯物の外干しや布団干しといった用途で使われることが多かったですが、室内干しや乾燥機だけで洗濯する人も増えており、バルコニーは不要と考える施主も多くなりました。
意外なデメリットと見直しのすすめ
バルコニーは、雨漏りしやすいポイントでもありますし、固定資産税もそこそこかかります。
FRP防水の場合、10年ごとにメンテナンスが必要です。
また、木造の一般的なバルコニーは奥行きが70cm程度しかなく、狭いのも問題です(マンションのバルコニーの半分くらいしかないと思った方が良いでしょう)。
このような理由から、私も「とりあえずつけたバルコニー」は無駄設備になるのでやめるべきだと考えます。
明確な目的があれば活用できる
ただし、明確に目的を持っているなら全く問題ありません。
できれば複数の目的があった方がいいですね。
例えば、2階リビングの家で広いバルコニーを設置し、外干し、布団干し、ビニールプール、バーベキュー、朝食、植木鉢、ゴミの一時置き場など、多目的に活用されている事例もあります。
これくらい使えば、作った甲斐がありますが、中には全く使わずに無駄設備になっている家もあります。
間取りにバルコニーがある方は、「自分たちならどのように使うだろうか?」ということを考えてみてください。
無駄設備13:将来の変更が難しい「造作家具」

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注文住宅を建てるなら、造作家具をやりたいという施主は多いです。
使い勝手や将来の家族の変化といったことを真剣に考えた上でつけるのなら良いのですが、そこまで検討している方は少数に見えます。
造作家具の3つの問題点 造作家具には、以下のような問題点があります。
- 撤去が大変で高額:家は何かを追加するのは簡単ですが、撤去するのはとてもお金がかかります。造作テーブル一つとっても、撤去となると床や壁など固定されている箇所の補修が必要になります。
- 家族や環境の変化に対応しにくい:撤去しにくいということは、家族構成の変化やライフスタイルの変化に対応しにくいということです。Appleの創業者のスティーブ・ジョブズは、iPhoneとガラケーの違いの一つとして、ボタンの位置を後から変えられることを挙げていました。ガラケーのボタンは一度決めたら変更できませんが、iPhoneは出荷した後にもっと良いボタンの位置を思いついたらそれに変更できる、と。せっかく建てた家が5年、10年と経ってガラケーのように陳腐化してしまうのは避けたいところです。
- 資産価値が下がる可能性:施主家族にぴったり合った家というのは、他の家族にとっては使いづらいものです。万が一売却したい時に、足かせになる可能性も考えられます。
長期的な視点を持つこと
もちろん、注文住宅なので将来の売却ばかり考えるのもつまらないですし、自分たちが思うように計画した方が楽しめるでしょう。
しかし、今だけでなく、30年後、40年後も見据えた上で決めるようにしてください。
まとめ
本日は「一級建築士がお勧めしない無駄な設備13選」というテーマで解説してきました。無駄な設備として解説したのは、以下の項目です。
- 吹き抜け
- 床暖房
- 部屋の畳数で選んだ壁かけエアコン
- スロープ
- 広いトイレ
- タンクレストイレ
- 玄関手洗い
- シューズクローク
- 玄関の間接照明
- セパレートキッチン
- キッチンの引き戸収納
- バルコニー
- 造作家具
注文住宅は、限られた予算と床面積を何に対して配分するのかを決めることがとても大事です。
「映え」や「憧れ」、雰囲気だけで決めちゃうと、住んでから後悔することにもなりかねません。
これらの設備を採用することで、自分たちの暮らしにどういうメリット・デメリットがあるのかを理解した上で、冷静に判断するようにしましょう。