注文住宅で固定資産税を10万円以上安くする!賢い家づくりのポイント

注文住宅で固定資産税を10万円以上安くする!賢い家づくりのポイント

夢のマイホーム、理想の注文住宅を建てるのはワクワクしますよね。

でも、住宅ローンの支払いに加えて、毎年かかる固定資産税の負担も忘れてはいけません。

この固定資産税、実は年々評価額が下がることで税額も安くなるのですが、最も重要なのは最初の評価額なんです。

この最初の評価額が高いと、その後何十年にもわたって高い固定資産税を払い続けることに…。

「あの時もっと真剣に考えておけばよかった!」と後悔しないためにも、家づくりの初期段階で固定資産税の仕組みを理解しておくことが大切です。

この記事で解説するポイントを押さえれば、賢く固定資産税を抑え、後悔のない家づくりができますよ。

 家の「構造」で評価額は大きく変わる!

 家の「構造」で評価額は大きく変わる!

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい

ご存じでしたか?全く同じ間取りの家でも、建物の構造によって固定資産税の評価額が大きく変わるんです。

日本の住宅で主に使われる構造は、木造鉄骨造、そしてコンクリート造の3種類。

この中で、最も評価額が安いのは木造です。次に鉄骨造、そしてコンクリート造が最も高くなります。

評価額は3年に一度見直される「経年減点補正率」というものが適用され、時間とともに下がっていきます。

  • 木造:一般的な住宅で約20年、こだわりの高級住宅でも25年で評価額が約20%まで下がります。
  • 鉄骨造:約40年かけて約20%まで評価額が下がります。
  • コンクリート造:約65年かけて約20%まで評価額が下がります。

つまり、木造はそもそも最初の評価額が安く、さらに評価額が下がるスピードも速いため、固定資産税の負担を考えるなら最もおすすめの構造と言えます。

「階数」にも注目!平屋・2階建て・3階建てで異なる評価額

「階数」にも注目!平屋・2階建て・3階建てで異なる評価額

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい

「同じ延べ床面積なら、どの階数でも評価額は同じじゃないの?」と思いがちですが、実は違うんです。

延べ床面積が同じ30坪の家を建てた場合、評価額が安い順は以下の通りです。

2階建て → 平屋建て → 3階建て

意外に感じた方もいるかもしれませんね。

  • 3階建て:建てた時点で評価額が1.1倍になってしまいます。
  • 平屋建て:基礎と屋根の面積が2階建ての約2倍近くになるため、一般的には2階建てよりも評価額が高くなります。

では、やはり2階建てが一番安いのか?実はそうとも限りません。

2階建ての場合、バルコニーをつけると評価の対象になったり、階段スペース収納の関係で延べ床面積が大きくなりがちです。

単純に階数だけで判断せず、平屋と2階建てで迷っている場合は、それぞれのプランで最終的な延べ床面積がどうなるかを確認し、付帯設備も含めて比較検討するといいでしょう。

「屋根」の形状と長さも税金に影響!

「屋根」の形状と長さも税金に影響!

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい

あまり意識されないかもしれませんが、屋根の形状や軒(のき)の長さも固定資産税に影響します。

屋根勾配(角度)

屋根勾配とは屋根の角度のことで、例えば「4寸勾配」は横1mに対して高さ40cm上がる傾斜を表し、約21度になります。

この屋根勾配が急になると、当然ながら外壁の面積が増えるため、建物の評価額が高くなる傾向にあります。

最近流行しているシンプルな箱型の家は、屋根勾配が緩やかなことが多く、デザイン性が高いだけでなく税金も抑えられるという、まさに一石二鳥の選択肢と言えます。

軒(のき)の出の長さ

軒(のき)とは、屋根が外壁よりも出ている部分のことです。

一般的には45cm程度の長さが多いのですが、この軒の長さによっても評価額が変わります。

  • 軒が60cm以上あると評価額が1.2倍
  • 軒が15cm以下まで短いと評価額が0.9倍

になります。

最近は、この軒の出をできるだけ短くした「軒ゼロ外観」の家も人気ですよね。

「雨よけや日よけにならないのでは?」と思うかもしれませんが、最近の外壁は耐久性が上がっているため、軒を短くしてもそこまで問題ないことが多いです。

屋根勾配を緩やかにし、軒を短くすることで、おしゃれな外観と固定資産税の節約を両立できますよ。

内外装の「建材・素材」は細かくチェック!

内外装の「建材・素材」は細かくチェック!

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい

家の印象を大きく左右する内外装の建材や素材も、固定資産税の評価額に大きく関わってきます。

屋根材の評価額ランキング(ポイントが低い=安い順)

様々な屋根材がありますが、安い順に見ていきましょう。

  • 第5位:ガルバリウム鋼板(10,650点)
  • 第4位:スレート(コロニアル)(12,790点)
  • 第3位:アスファルトシングル(13,000点)
  • 第2位:瓦(15,220点)
  • 第1位:太陽光一体型屋根(18,000点)

意外なのが、太陽光一体型屋根が最も評価額が高い点です。

これは、太陽光パネルが屋根材の一部とみなされてしまうため。

一方で、屋根の上に架台を設置する一般的なタイプの太陽光パネルは家電扱いになり、固定資産税の対象外となります。

見た目のスッキリさは魅力ですが、税金面では注意が必要です。

外壁材の評価額ランキング(ポイントが低い=安い順)

外壁は屋根と違って面積が広いため、少しの単価の違いでも大きな差になります。

  • 第4位:塗り壁(7,240点)
  • 第3位:ガルバリウム鋼板(8,150点)
  • 第2位:サイディング(9,770点)
  • 第1位:タイル(14,470点)

塗り壁とタイルではポイントが2倍以上違うため、税金を抑えたい方はタイル以外の選択肢を検討するのがおすすめです。

ただし、タイルは耐久性が高くメンテナンス面では有利という側面もあります。

長期的な視点でコストを比較し、検討しましょう。

内壁・天井材の評価額ランキング(ポイントが低い=安い順)

室内の壁や天井の素材も多種多様ですが、よく使われるものをピックアップしました。

  • 第7位:クロス(6,600点)
  • 第6位:メラミン化粧板(10,010点)
  • 第5位:木を張る仕上げ(13,400点)
  • 第4位:サイディング(17,000点)
  • 第3位:塗り壁(17,030点)
  • 第2位:タイル(20,030点)
  • 第1位:石張り(62,630点)

最近人気のメラミン化粧板や、コーヒーの豆カスを混ぜたようなおしゃれな塗り壁(ケミのソリドなど)は、クロスに比べて評価額が高くなりがちです。

壁一面に使うとかなりの評価額になるため、テレビ背面やキッチンの腰壁など、ポイントを絞って使うことでデザイン性と税金のバランスを取るのが賢い選択です。

床材の評価額ランキング(ポイントが低い=安い順)

床も広い面積を占めるため、評価額に大きく影響します。

  • 第5位:モルタル(1,700点)
  • 第4位:カーペット(2,480点)
  • 第3位:フローリング(4,310点)
  • 第2位:畳(4,990点)
  • 第1位:タイル(17,000点)

最も安いモルタルとタイルを比べると、なんと6倍以上の差があります。

玄関や洗面所はタイルを使うことが多いですが、リビングなどの広い空間にタイルを使うと評価額がぐっと上がってしまいます。

床材は毎日の生活に直接関わる部分なので、評価額だけでなく使い心地も考慮しながら選びましょう。

「高くなるオプション」を把握して賢く選択!

「高くなるオプション」を把握して賢く選択!

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい

「これ、つけたいな」と思うオプションの中にも、固定資産税が高くなるものが意外と多くあります。

知らずに選んでしまうと、納税額がとんでもないことになってしまうかもしれません。

高くなるオプションとポイント(一例)

  • 床暖房:10,040点 冷え性の方には必須の設備かもしれませんが、フローリングの約4倍ものポイントがついてしまいます。例えば30坪の床に全館床暖房を敷き詰めると、年間で約2万4千円も固定資産税が高くなる計算です。リビングの10畳分だけにするなど、必要な場所に絞ることで費用を抑えられます。
  • キッチンの幅 一般的な2.55m程度のキッチンに対し、横幅3m程度の長いものは評価額が1.15倍に。逆に1.8mくらいのコンパクトなものなら評価額が下がります。
  • ユニットバスのサイズ 1坪サイズよりも1.25坪、1.25坪よりも1.5坪と大きくなるにつれて固定資産税は上がっていきます。
  • エアコンの種類 壁掛けエアコンは家電扱いなので固定資産税の対象外です。しかし、天井埋め込みタイプは建物の一部とみなされ8,900点もついてきます。
  • 浴室換気乾燥機:54,180点 これも意外と大きな評価額になります。通常の換気扇であれば評価額はぐっと下がります。
  • 24時間換気システムの種類 法律で設置が義務付けられている24時間換気システムも、種類によって評価額が変わります。自然給気口で行う「第3種換気」に対し、給排気もダクトを使う「第1種換気」を選ぶと、評価額がなんと約3倍になってしまいます。
  • その他の水回り設備
    • 2階に設置する洗面化粧台(75cmのもので66,630点)
    • 玄関の手洗い機(46,310点)
    • ランドリールームのスロップシンク(54,360点) これらの設備もそれぞれ評価対象になるため、本当に必要か検討が必要です。
  • バルコニー:52,600点 バルコニーの有無だけでも固定資産税が大きく変わるため、初期費用だけでなく税金まで考えて検討しましょう。最近は乾燥機を使う方も増えており、バルコニーを設置しない選択をする人も少なくありません。

理想と税金のバランスを見極める家づくりを

まとめ:理想と税金のバランスを見極める家づくりを

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい

さて、ここまで固定資産税を極限まで安くするためのポイントを解説してきました。

まとめると、固定資産税を安く抑える家は、以下のような特徴を持つことになります。

  • 構造木造の2階建て
  • 屋根緩やかな勾配ガルバリウム鋼板軒は短く
  • 外壁塗り壁ガルバリウム鋼板
  • 内壁・天井クロス
  • 床材モルタルフローリング
  • 設備面では、床暖房は我慢し、エアコンは壁付け換気システムは第3種2階の洗面台もなしキッチンやユニットバスはコンパクトなサイズ、そしてバルコニーもなし

ここまで徹底すると、「せっかくの注文住宅なのに、もう建売で良くない?」なんて声が聞こえてきそうですね。

確かに、税金だけを考えていたら、夢も希望もない家になってしまうかもしれません。

今回の記事で固定資産税の仕組みはご理解いただけたと思います。

この知識を活かして、自分自身が大切にしたいポイントは残しながら、賢く評価額を抑えるところは抑えるというバランスの取れた家づくりをしてほしいと願っています。

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✅ 固定資産税を安く抑えるためのポイントまとめ(13項目)

  1. 最初の評価額が超重要!

    • 初回の建物評価額が高いと、長年にわたり高い固定資産税を払い続けることに。

  2. 構造は「木造」が最も有利

    • 木造は初期評価額が安く、経年減価のスピードも速いため、税金が安く済む。

  3. 階数は「2階建て」が基本的に一番安い

    • 3階建ては評価額が約1.1倍、平屋は基礎・屋根面積の関係で割高になりやすい。

  4. 屋根勾配は緩やかに、軒は短く

    • 外壁面積が増える急勾配屋根は評価額UP、軒が短いほど評価額DOWN(15cm以下なら0.9倍)。

  5. 屋根材は「ガルバリウム鋼板」が安価でスタイリッシュ

    • 太陽光一体型は評価額が高く、後付けの方が税金的に有利。

  6. 外壁は「塗り壁」や「金属サイディング」が節税に有利

    • タイルは高評価(高額)になるため、税金重視なら避ける。

  7. 内壁・天井材は「クロス」が最も低コスト

    • メラミン化粧板や石材などは部分使いに留めて、コストとデザインのバランスを。

  8. 床材は「モルタル」「フローリング」が無難

    • タイル床は高評価なので、使用は玄関や洗面などに限定する。

  9. 床暖房は部分設置で節税

    • 全館設置だと年間税額が2万円以上上がることも。リビングだけに絞るのが◎。

  10. エアコンは「壁掛けタイプ」を選ぶ

    • 天井埋込型は固定資産として課税対象になる(約8,900点加算)。

  11. 換気システムは「第3種」が安い

    • 「第1種換気」は評価額が3倍になるので、気密性能とのバランスで選定を。

  12. 水回り設備は設置場所とサイズに注意

    • 2階洗面台、玄関手洗い、スロップシンクはすべて評価対象。不要なら削る選択も検討。

  13. バルコニーも課税対象になる

    • 最近は室内干し+乾燥機の活用でバルコニーを設置しない家庭も増加中。

このように、評価額=家のスペック+設備の選択次第で大きく変わります。

「すべて我慢」ではなく、「ここは譲れない」「ここは抑える」でメリハリのある家づくりが、理想と家計の両立のカギです。