注文住宅の造作家具費用のリアル事例5選|成功する予算プラン

注文住宅における造作家具の費用相場や計算方法、素材別単価、施工難易度、業者選びのコツを詳しく解説。

実際のテレビボードやキッチン収納など5事例の詳細費用から、補助金活用や予備費設定まで学べるので、予算オーバーを防ぎつつ理想のオーダーメイド家具を実現するノウハウが分かります。

注文住宅の造作家具費用の基礎知識

注文住宅の造作家具費用の基礎知識

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい

注文住宅における造作家具の費用は、材料費や加工費、取付費など複数の要素から構成されます。

事前に内訳と計算方法を理解し、素材やデザインによるコストの違いを把握することが、予算内で理想の家具を実現するポイントです。

造作家具費用の内訳と計算方法

造作家具の総費用は下表の項目を合算して算出します。

各項目には相場感がありますので、見積もりの際は割合を確認しましょう。

費用項目 内訳(割合目安)
材料費 30~50%
加工費(木工・組立) 20~30%
取付費(現場施工) 15~25%
設計・図面作成費 5~10%
諸経費(運搬・廃材処分) 5%前後

費用の計算例は次のとおりです。

(材料単価×必要面積)+加工費+取付費が基本式となります。

例えば、テレビボードを幅2.5m×奥行0.5mで製作する場合、材料単価1万2,000円/㎡で算出すると、材料費は約1万5,000円となります。

さらに、加工費は製作難易度で変動し、シンプルな直線加工であれば床面積×3,000円程度、曲線や特殊金具を用いる場合は×5,000円以上となるケースがあります。

素材やデザインが費用に与える影響

選ぶ素材やデザインによって、造作家具の単価は大きく変動します。

下表は代表的な木質素材の単価目安です。

素材 単価目安(㎡あたり) 特徴
無垢材(オーク) 2万円~3万円 高耐久・風合い良好
突板(ナラ) 8,000円~1万2,000円 無垢感+コスト抑制
MDF(メラミン化粧板) 5,000円~8,000円 均一な仕上がり・汚れに強い
合板 4,000円~6,000円 軽量・低価格

素材選びでは、高級な無垢材は1㎡あたり2万円以上となる一方、合板やMDFを用いれば半額程度に抑えられます

また、突板はコストと質感のバランスが取りやすい選択肢です。

デザイン面では、収納機能を多く盛り込むほど内部仕切りや引き出しが増え、製作費用が10%以上アップするケースがあります。

特に曲線部の加工や特注金具、仕上げ塗装の色数が増えると、その分手間と費用がかかるため、事前に業者と詳細を詰めることが重要です。

造作家具費用を左右する主要要素

造作家具費用を左右する主要要素

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使用素材別の単価比較

造作家具の費用は主に素材の種類とグレードによって大きく変動します。

以下の表は、一般的な素材を㎡単価で比較したものです。

素材 単価(税込・万円/㎡) 特徴
パイン無垢材 2.0~3.5 温かみがあり加工性良好。キズが目立ちやすい。
オーク無垢材 4.0~6.5 硬く耐久性が高い。木目が美しいが重量がある。
メラミン化粧板 1.2~1.8 耐水性・耐汚性に優れコスト抑制に最適。
合板+塗装仕上げ 2.5~4.0 塗装色の自由度が高いが施工手間がかかる。

強固な無垢材は高単価ですが、メンテナンス性や風合いを重視する場合に選択肢となります。

反対にメラミン化粧板は低コストで汚れに強いため、キッチンやランドリールームに向いています。

サイズと施工難易度の関係

造作家具のサイズ(面積・奥行・高さ)と形状により、必要な材料量と施工時間が変動します。

特にL字収納やカーブを描く棚は加工が複雑になるため、直線的な家具に比べ工数が1.5倍以上かかるケースもあります。

また、造作家具の扉枚数や引き出しの数が増えるほど丁番やレールなどの金物費用も積み上がります。

設置場所の高さが2.5m以上になると足場設置の手間がかかり、別途足場費用が発生する点にも注意が必要です。

業者選びと見積もりのポイント

造作家具の発注先は大きく分けて工務店、一般家具店、住宅メーカー付帯工事の3種類があります。

それぞれに以下のような特徴があります。

業者タイプ メリット デメリット
工務店 設計との連携がスムーズ。現場経験豊富。 専門性はやや限定的で、デザイン提案力に差。
一般家具店 素材やデザインの選択肢が豊富。専用工房あり。 現場施工経験が浅い場合がある。
住宅メーカー 総合契約のため手続きが一括。保証が手厚い。 コストが割高になりがち。自由度は低め。

見積もりを依頼する際は、必ず複数社から同一仕様で比較することが重要です。

明細内訳を細かくチェックし、材料費・施工費・金物費用の各項目を確認しましょう。

また、過去施工例の写真や顧客レビュー、施工保証期間の有無も判断材料となります。

注文住宅で実際にかかった造作家具費用事例5選

注文住宅で実際にかかった造作家具費用事例5選

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事例1 リビングのテレビボード制作費

設計概要

幅約2,400mmの壁面一体型テレビボード。

前板はナラ突板仕上げ、天板はナラ無垢材を採用。テレビ背面に配線用のケーブル孔とLED間接照明を組み込み、取っ手レスのプッシュオープン扉を装備。

費用詳細

項目 仕様 費用(税込)
材料費 ナラ突板MDF+ナラ無垢 ¥80,000
加工・施工費 大工工事、取付調整 ¥60,000
金物・照明 Blumプッシュオープン、LEDテープライト ¥15,000
仕上げ塗装費 ウレタンクリア塗装(2回塗り) ¥15,000
合計 ¥170,000

事例2 キッチン収納の造作家具費

設計概要

システムキッチン横に設置した高さ2,200mmのパントリー収納。

内装はホワイトメラミン化粧板、引き出しはBlum社のソフトクローズ機能付き。

可動棚を多段設けて調整可能。

費用詳細

項目 仕様 費用(税込)
材料費 メラミン化粧板 ¥70,000
加工・施工費 大工工事、棚板調整 ¥50,000
金物費 Blumソフトクローズレール ¥20,000
合計 ¥140,000

事例3 ランドリールームの作業台制作費

設計概要

洗濯機上に設置した作業台。

天板はステンレスヘアライン仕上げ、側板は耐水性の高いラワン合板、背面にはタイル貼りとプッシュ式水栓を配置。

タオルバーと小物フック付き。

費用詳細

項目 仕様 費用(税込)
材料費 ステンレス+耐水ラワン合板 ¥65,000
加工・施工費 大工工事、タイル貼り ¥55,000
金物・設備 プッシュ式水栓、タオルバー ¥18,000
合計 ¥138,000

事例4 寝室のクローゼット造作家具費

設計概要

壁一面を利用したオープン収納クローゼット。

ハンガーパイプはアルミ製、棚板はホワイト塗装の集成材。下部に引き出し2段を設け、フロアレール付きの可動式ドアを採用。

費用詳細

項目 仕様 費用(税込)
材料費 集成材棚板+アルミパイプ ¥75,000
加工・施工費 大工工事、ドア取付 ¥60,000
金物費 フロアレール、引き出しレール ¥22,000
合計 ¥157,000

事例5 書斎デスクの造作家具費

設計概要

幅1,800mm×奥行600mmの壁付け書斎デスク。

天板はウォールナット無垢材、脚部は鉄製のアイアンレッグ。

引き出し1杯とケーブル孔を組み込み、天板裏に電源タップを設置。

費用詳細

項目 仕様 費用(税込)
材料費 ウォールナット無垢+アイアンレッグ ¥100,000
加工・施工費 大工工事、金具取付 ¥40,000
金物・設備 引き出しレール、電源タップ ¥15,000
合計 ¥155,000

予算を成功に導くプランニング方法

予算を成功に導くプランニング方法

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見積もり依頼の進め方と比較のコツ

造作家具の費用を正確に把握するには、まず複数社からの見積取得が不可欠です。

業者ごとに得意分野や材料の調達ルートが異なるため、見積内容を比較検討することで適正価格を見極められます。

ステップ 内容 チェックポイント
1. 要望の整理 設置場所・サイズ・素材・仕上げを明確化 図面やイメージ写真を用意する
2. 業者選定 工務店・建具店・インテリア工房などから選ぶ 施工実績と得意分野を確認
3. 見積依頼 詳細仕様を伝え、内訳を項目別に提示依頼 人件費・材料費・運搬費などが明記されているか
4. 明細比較 各社の単価や施工期間を一覧化 同一仕様で比較し、不明点は質問
5. 交渉と最終調整 追加オプションや工期短縮を相談 納期や保証内容も含めて最終確認

特に見積明細の精査では、材料グレードや仕上げ方法の違いによる価格変動をチェックし、不要なオプションが含まれていないか確認しましょう。

補助金や住宅ローン控除の活用法

注文住宅の造作家具にも、国や自治体が提供する支援制度を活用することで予算を抑制できます。

制度名 概要 主な条件・金額
すまい給付金 消費税率引き上げ分の負担軽減 年収目安775万円以下で最大50万円
住宅ローン減税 年末ローン残高の1%を所得税・住民税から控除 最大控除期間13年・控除額上限4,000万円分
省エネ設備補助金 省エネ性の高い木製建具や断熱材導入 対象工事費の1/3以内・上限30万円程度

申請には工事前の事前申請や完了後の書類提出が必要です。

申請期限や必要書類(領収書・設計図・補助金申請書)を事前に確認し、手続きを漏れなく進めましょう。

予備費を含めた安全な予算設定

造作家具工事では、図面段階では想定しづらい現場対応や材料価格の変動が起こり得ます。

そのため、総工費に対して予備費を10~15%程度見込むのが理想的です。

費用項目 想定割合 内容例
材料費 50~60% 木材・金具・表面仕上げ材
施工費 30~40% 大工の人件費・現場管理費
諸経費 5~10% 運搬費・養生費・廃材処分費
予備費 10~15% 追加工事・材料高騰・設計変更対応

見積段階で予備費を含めた総額を確認し、実際に発生した費用との差異を都度チェックすると、予算オーバーを防ぎやすくなります。

注文住宅の造作家具費用:まとめ

注文住宅の造作家具費用:まとめ

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい

本記事では5つの実例をもとに、タモやナラなど無垢材の単価比較や施工難易度が費用に与える影響を解説しました。

補助金・住宅ローン控除を活用し、見積もりは3社以上比較、全体費用の10〜20%を予備費として確保すれば、想定外の追加費用を防ぎながら理想の造作家具を予算内で実現できます。

信頼できる業者選びが成功の鍵です。