転職がうまくいかない人の特徴とは?プロが見た“共通する落とし穴”

転職活動をしていると、「何社応募しても通過しない」「面接でうまく話せたと思ったのに不採用だった」という経験をされる方が少なくありません。私自身、これまで1,000件以上のキャリア相談を受ける中で、「一生懸命やっているのに報われない」と悩む方々をたくさん見てきました。

一見、真面目に準備をしているように見えても、実は「共通する落とし穴」に気づかず、同じ失敗を繰り返してしまっているケースが多いのです。転職がうまくいかない理由は、スキルや経歴の問題だけではありません。むしろ「伝え方」や「戦略の立て方」が原因であることのほうが圧倒的に多いと感じています。

この記事では、転職活動が長引いてしまう方に共通する特徴と、その改善のヒントを私の支援経験からご紹介いたします。

書類で落ちる人に共通する“伝わらない職務経歴書”

転職活動で最初に通過しなければならないのが「書類選考」です。しかし、ここでつまずいてしまう方は非常に多く、「何十社出しても通らない」という相談もよくいただきます。その原因の多くが、職務経歴書の「伝わらなさ」にあります。

作業の羅列になっている

職務経歴書を拝見すると、「〜を担当」「〜の業務に従事」といった作業内容だけがずらりと並んでいるものがあります。もちろん、どんな仕事をしてきたのかを書くことは大切です。しかし、それだけでは「その人がどんな価値を発揮したのか」が伝わりません。

企業目線が抜けている

応募先企業が知りたいのは、「この人を採用すると、どんな成果を期待できるか」です。ところが、自己紹介文が「自分がやりたいこと」ばかりで、「御社でどう貢献できるか」が書かれていないケースは非常に多いです。私がアドバイスするときは、「職務経歴書は履歴ではなく営業資料」という視点を持ちましょうとお伝えしています。

数字や成果が書かれていない

「頑張りました」だけでは評価されません。面接官に伝わるのは、「売上を前年比120%達成」や「新規顧客を月5件以上獲得」といった、数字で裏付けされた実績です。実際、数字を意識して書類を修正しただけで通過率が大幅に上がった方もいらっしゃいました。

面接で落ちる人に多い“自己アピールのすれ違い”

書類は通るのに、面接でなかなか次のステップに進めないという方も少なくありません。こうした方に共通して見られるのが、「自己アピールの方向性」がずれてしまっていることです。

やりたいことばかり話してしまう

「自分がやりたいこと」や「将来の夢」を語るのは素晴らしいことです。ただし、それが企業のニーズとズレていると、印象はあまり良くなりません。面接では、「自分が何をしたいか」ではなく、「この会社で何ができるか」「どのように貢献できるか」を話すことが大切です。

経験と志望動機が結びついていない

過去の経験と志望動機がつながっていないと、「なんとなくの応募」と思われてしまいます。私が面接練習で意識してもらっているのは、「だからこそ御社を選んだ」と言えるようなストーリーを作ることです。経験 → 気づき → 志望理由、という流れを意識するだけで、説得力がぐっと増します。

プレゼンになってしまい、会話になっていない

話す内容を一生懸命準備するあまり、面接が一方的なスピーチになってしまう方もいらっしゃいます。採用担当者は「一緒に働けるかどうか」を見ているため、自然なキャッチボールができることも大切です。面接は“評価される場”であると同時に、“対話の場”でもあります。

戦略のない応募が転職を長期化させる

「とりあえず数を打てばいつかは当たる」と考えて、手当たり次第に応募をしている方もいらっしゃいます。しかし、この戦略のない行動がかえって転職を長引かせてしまう原因になります。

応募軸があいまい

「どんな会社でもいい」と思って応募してしまうと、面接で話す内容にも一貫性がなくなります。そうすると企業側にも「この人はうちに本当に興味があるのか?」と疑問を持たれてしまいます。転職活動では、「どんな会社に行きたいのか」ではなく、「どんな価値観で仕事を選ぶのか」を明確にすることが重要です。

企業研究が浅い

求人票だけを見て応募してしまい、企業の事業内容やビジョンを十分に理解しないまま面接に進むと、高確率でミスマッチが起きます。企業研究をしっかり行い、企業が求めている人物像を把握することで、より的確なアピールが可能になります。

書類・面接が“場当たり的”になってしまう

応募企業ごとの対策ができていないと、選考が進まないだけでなく、モチベーションも下がってしまいます。「なんで通らないんだろう…」と悩みながら、気づけば何カ月も経っていたというケースも珍しくありません。

まとめ

転職がうまくいかない方に共通するのは、「自己流で進めてしまっている」という点です。真面目で努力家な方ほど、情報を集め、自分なりに準備をします。しかし、そのやり方が企業側の目線とズレていたり、表現が足りなかったりすると、なかなか結果にはつながりません。

私がいつもお伝えしているのは、「自分の価値を、相手に伝わる形で言語化すること」が転職成功のカギだということです。能力がないわけではなく、“伝わっていない”だけ。ほんの少し視点を変えるだけで、選考結果は大きく変わってきます。

転職活動に行き詰まりを感じている方は、ぜひ一度、自分のやり方を見直してみてください。自己流を脱し、相手の立場に立った準備をすることで、「選ばれる転職」に近づくことができます。