本記事では、注文住宅でベランダを設置する際の費用相場や費用内訳、価格を左右する広さ・素材・向きなどの主要要素を徹底解説します。
さらに、LIXILやYKK APなど国内主要メーカーの素材選びや施工方法の工夫で最大30%節約する3つのポイント、複数社からの見積もり取得と内訳チェック、アフターサポート確認のコツ、実例ケースまで網羅し、ベランダ費用を最適化する方法がすべて分かります。
注文住宅 ベランダ 費用の基礎知識
ベランダ費用の相場を理解する
注文住宅におけるベランダの費用相場は、広さや仕様、地域差によって大きく変動します。
一般的には1平方メートルあたり3万~7万円が目安とされており、これに設計費や諸経費が加算されます。
面積別の概算費用例
ベランダの面積ごとの費用例を以下に示します。
面積 | 概算費用(材料・工事費) |
---|---|
3m² | 9万~21万円 |
5m² | 15万~35万円 |
8m² | 24万~56万円 |
地域別価格の傾向
首都圏や都市部ほど工賃や地価が高いため、関東圏では相場の上限近くとなりやすい一方、地方ではやや抑えられる傾向があります。
費用に含まれる項目一覧
ベランダを施工する際には複数の費用項目が組み合わさります。
以下の表で主要な内訳を確認しましょう。
費用項目 | 内容 | 割合の目安 |
---|---|---|
設計・監理費 | 図面作成や現場監理にかかる費用 | 5~10% |
材料費 | アルミ・木材・FRP・タイルなどの購入費 | 30~40% |
施工工事費 | 下地組み立てから仕上げまでの人件費 | 40~50% |
防水工事費 | ウレタンやシート防水の施工費用 | 5~15% |
仕上げ・塗装費 | 塗装やタイル貼りの仕上げ作業 | 5~10% |
諸経費 | 現場管理費や廃材処理費、交通費など | 3~5% |
各項目のチェックポイント
- 設計・監理費は全体の品質を左右するため、施工会社選びとあわせて必ず確認しましょう。
- 材料費は見た目や耐久性に大きく関わるため、サンプル確認や性能比較をおすすめします。
- 防水工事費を削りすぎると漏水リスクが高まるため、専門業者による施工が重要です。
- 諸経費は業者によって大きく異なるため、見積もり明細で内訳を必ずチェックしてください。
注文住宅ベランダ費用を左右する主要要素

image:注文住宅の教科書:ゼロから始める理想の住まい
ベランダの広さと形状
ベランダの費用は面積と形状によって大きく変動します。
面積が増えるほど施工費や防水工事費、手すり設置費用が上乗せされるため、予算設定時には必ず㎡単価を確認しましょう。
形状 | 面積の目安 | 概算費用(税込) |
---|---|---|
シンプル型 | 3~5㎡ | 約15万~25万円 |
L字型 | 5~8㎡ | 約30万~45万円 |
変形・大型型 | 8㎡以上 | 約50万~80万円以上 |
特殊形状やデザイン重視の変形ベランダは追加の型枠費や施工技術料がかかるため、見積もり時に必ず内訳をチェックしましょう。
使用する素材の違い
ベランダ床材や手すり、外壁との取り合いに使う素材で費用・耐久性・メンテナンス性が異なります。
素材選びは初期費用と長期維持費のバランスで判断することが重要です。
素材 | 特徴 | 費用目安(㎡あたり) | メンテナンス |
---|---|---|---|
コンクリート+防水塗装 | 耐久性高いが重量大 | 2万~3万円 | 5~7年ごとに再防水 |
アルミデッキ(標準仕様) | 軽量・施工費抑制 | 1.5万~2.5万円 | 定期清掃で十分 |
樹脂木デッキ | デザイン性高く滑りにくい | 2万~4万円 | 汚れ落としのみ |
設置場所と向きの影響
ベランダを設置する方角や周囲の建物配置は日照・通風・建蔽率に直結し、防水施工の内容や足場設置費用に影響します。
特に南向きは日差しによる劣化が早いためUVカット塗装が推奨され、東西は強風対策、北向きは湿気対策の仕様追加が必要になることがあります。
また2階以上のベランダでは足場代が加算されるため、見積もり内訳で足場設置費用や安全対策費を必ず確認しましょう。
オプション設備のコスト
標準仕様からアップグレードする各種オプションは、デザインや機能性を高める反面、費用が大きく増える要因です。
必要性を見極め、予算に応じて導入を検討しましょう。
オプション設備 | 機能・特徴 | 追加費用の目安(税込) |
---|---|---|
強化防水(FRP・ウレタン) | 耐久性・耐候性アップ | 約5万~15万円 |
手すりデザイングレードアップ | アイアン調・ガラス手すりなど | 約3万~10万円 |
サンシェード・ルーバー取付 | 日差し・雨よけ機能 | 約10万~25万円 |
照明・コンセント設置 | 夜間利用や家電使用が可能 | 約2万~5万円 |
物干し金具・ポール | 洗濯物の効率的な干し場 | 約1万~3万円 |
注文住宅ベランダ費用を最大30%節約する3つのポイント

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ポイント1 素材選びで賢くコストダウン
ベランダの仕上げに用いる建材は、全体の費用に大きく影響します。
コストパフォーマンスを高めるには、耐久性とメンテナンス性を踏まえた素材比較が必須です。
素材 | 費用目安(㎡あたり) | 耐久年数 |
---|---|---|
アルミ製 | ¥15,000~¥20,000 | 15~20年 |
木製(ウッドデッキ) | ¥25,000~¥35,000 | 10~15年 |
FRP防水 | ¥18,000~¥25,000 | 15~20年 |
アルミやFRPは初期費用を抑えつつ長期間の耐水性を確保でき、定期的な塗装メンテナンスも容易です。
ウッドデッキは風合いが魅力ですが、塗装や防虫処理が必要なためランニングコストがかかります。
さらに、規格サイズの既製デッキ材を選ぶと加工費を削減できるため、オーダーメイドより10~15%の節約が狙えます。
ポイント2 施工方法の工夫で費用削減
施工の段取りや方法次第で人件費や作業時間を大幅にカットできます。
例えば、現場打ちコンクリートよりもプレキャスト躯体を採用すると、打設の養生期間が不要になり、工期短縮による人件費削減が期待できます。
また、足場の共用や大型クレーンの併用で設置効率を高めると工事総費用を約20%削減する事例もあります。
加えて、施工業者が得意とする工法を見極め、標準仕様内での対応を優先することで、オプション追加の手間と費用を抑えましょう。
ポイント3 オプション取捨選択で無駄を省く
手すり、日除けルーバー、防水性強化用トップコートなどのオプション設備は、選択次第で予算を圧迫します。
まずは必須要件を整理し、以下の表を参考に優先度をつけて検討してください。
設備 | メリット | 費用目安 |
---|---|---|
手すり(アルミ) | 安全性向上 | ¥50,000~¥80,000 |
日除けルーバー | 直射日光カット | ¥30,000~¥60,000 |
トップコート(防水強化) | 耐久性アップ | ¥10,000~¥15,000 |
たとえば日除けルーバーは、隣家との日照トラブル防止には有効ですが、室内への採光を優先する場合はコストパフォーマンスが低くなるケースもあります。
必要最低限のオプションに絞り込むことで、不要な追加費用をカットしましょう。
ベランダ費用を抑える業者選びと見積もりのコツ

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複数社から見積もりを取る重要性
ベランダ工事の費用を抑えるには、まず相見積もりを実施することが欠かせません。
同じ仕様でも業者によって提示額に差が出るため、必ず3社以上から見積もりを取得し、金額だけでなく工事内容や保証期間も比較しましょう。
複数社を比較するメリット:
- 市場相場を把握できる
- 不要なオプションを省いた適正価格を見極められる
- 業者間で価格交渉の材料になる
実績やアフターサポートの確認
安価な業者を選ぶ際には、費用だけでなく施工実績とアフターサポートの充実度を必ずチェックしましょう。
特に以下のポイントは重要です。
- 過去の施工写真やオーナーの声の掲載有無
- 工事保証(防水・構造・塗装など)の期間と範囲
- メンテナンス体制(定期点検や緊急対応の可否)
これらを事前に確認することで、トラブル時の追加費用発生リスクを減らすことができます。
見積もり内訳のチェックポイント
見積書の内容は以下の表を参考に、項目漏れや過剰請求がないかを細かく確認しましょう。
見積項目 | 確認ポイント | 備考 |
---|---|---|
材料費 | 使用素材(FRP、タイル、木質デッキなど)の単価が明示されているか | グレードやメーカー名を確認 |
施工費 | 施工面積あたりの単価が相場と合っているか | 夜間・高所作業の追加料金をチェック |
諸経費 | 解体費、廃材処分費、足場費用などが別枠で記載されているか | 一律加算ではなく詳細内訳を要確認 |
消費税 | 税率が最新の10%であるか | 税込表示か税別表示かを統一して比較 |
保証・保険 | 瑕疵保証や施工責任保険の費用が含まれているか | 無料保証か有料保証か要確認 |
さらに、見積もり有効期限や追加工事発生時の単価目安も押さえておくと安心です。
実例で学ぶ注文住宅ベランダ費用事例

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大型ベランダを採用したケース
家族団らんのスペースとして約24m2の大型ベランダを2階に設置。
リビングと一体感を持たせた設計で、以下の仕様・費用内訳となりました。
項目 | 仕様 | 費用 |
---|---|---|
床仕上げ | 樹脂木デッキ(LIXIL「樹ら楽ステージ」) | ¥380,000 |
手すり | アルミ+ガラス手すり(YKK AP「ルシアス手すり」) | ¥450,000 |
防水工事 | ウレタン防水(通気緩衝工法) | ¥200,000 |
電気設備 | 屋外用コンセント+ダウンライト | ¥120,000 |
諸経費 | 現場管理費・廃材処理費など | ¥150,000 |
総額:¥1,300,000(税込)
ポイントは樹脂木デッキ+ガラス手すりの組み合わせで高級感を維持しつつ、工法を統一して施工効率を高めた点です。
コンパクトベランダを実現したケース
限られたスペースを有効活用した約8m2の物干し兼用ベランダ。
植栽コーナーと収納ラックを設け、コンパクトながら機能性を両立しました。
項目 | 仕様 | 費用 |
---|---|---|
床仕上げ | タキステップ(タキロンシーアイ) | ¥120,000 |
手すり | アルミ格子手すり(Tostem「プレスタ」) | ¥100,000 |
防水工事 | シート防水(塩ビシート) | ¥80,000 |
物干し金具 | ステンレス製可動式 | ¥50,000 |
工事費・諸経費 | 現場管理費・諸手続き費用など | ¥160,000 |
総額:¥510,000(税込)
コンパクトベランダでは防水と仕上げをシート一体で施工することで工期短縮とコスト削減を実現しました。
デザイン重視の変形ベランダ
敷地形状に合わせて半円形にデザインした約15m2の変形ベランダ。
外観意匠を損なわないよう、素材と施工方法にこだわりました。
項目 | 仕様 | 費用 |
---|---|---|
床仕上げ | 磁器タイル貼り(LIXIL「CeraTile」) | ¥300,000 |
手すり | 特注ガラス手すり(強化ガラス+ステンレス支柱) | ¥600,000 |
防水工事 | FRP防水(トップコート仕上げ) | ¥120,000 |
造作ベンチ | 屋外用耐水合板+塗装仕上げ | ¥200,000 |
照明設備 | 間接照明用LEDテープライト | ¥100,000 |
総額:¥1,320,000(税込)
デザイン重視のポイントはガラス手すりとタイル床の組み合わせで高級感を演出しつつ、FRPによる防水耐久性を確保した点です。
まとめ
ベランダ費用の節約には、まず相場を把握したうえで素材選び・施工方法・オプションの3ポイントを徹底すれば、最大30%のコストダウンが可能です。
さらに複数社から見積もりを取り、実績やアフターサポート、内訳を比較すれば、無駄を省きつつ理想のベランダを実現可能です。
LIXILやYKK APなど国内大手のカタログ参照も効果的で、価値とコストの両立を後押しします。これらを踏まえ、賢く費用を抑えたベランダづくりを心掛けましょう。