入社して間もない時期に「この仕事が自分に合っていないかもしれない」と感じる人は少なくありません。
新しい環境や人間関係に慣れるまでのストレスや、想像していた仕事内容とのギャップに戸惑うのは自然なことです。
一方で、「新卒で転職するのは印象が悪いのでは」「まだ早すぎるのでは」と不安に感じる人も多いでしょう。
しかし近年では、社会全体の働き方が変化し、新卒1〜3年以内の転職は決して珍しくない時代になっています。
終身雇用が当たり前だった時代から、「自分に合った環境を選び取る」時代へと移り変わりつつあるのです。
この記事では、最新データをもとに新卒転職の実態を解説し、さらに転職で成功する人の特徴とポイントについて詳しくお伝えします。
新卒で転職する人はどれくらいいる？最新データで見る実態
● 離職率のデータが示す“早期転職の現実”
厚生労働省の「新規学卒者の離職状況（令和5年度）」によると、**新卒入社から3年以内に離職する人の割合は約30％**に達しています。
つまり、3人に1人が3年以内に転職を経験している計算です。
特に注目すべきは、入社1年以内に転職する人も増加傾向にあることです。かつては「1年で辞めるのは早すぎる」といわれていましたが、現在では新しい環境への適応やキャリアの再設計を目的とした“早期転職”が一般化しつつあります。
● 業界別に見る離職率の違い
離職率は業界によっても大きく異なります。
たとえば、**宿泊・飲食サービス業は3年以内離職率が約50％**と高い一方で、製造業や金融業は約20％前後と比較的低い傾向にあります。
これは業務内容の特性や労働環境、教育体制などが大きく影響しているといえます。
● 「早期離職＝ネガティブ」から「キャリア選択の一手」へ
以前は「短期間で辞めるのは根性がない」といった価値観が一般的でした。
しかし現在では、「自分に合わない環境で無理を続けるよりも、早い段階で方向転換した方が良い」という考え方が浸透しています。
転職がキャリアの失敗ではなく、**“再スタートの機会”**として受け止められるようになってきているのです。
新卒が転職を考える主な理由
● 1. 仕事内容が合わない・やりがいを感じない
もっとも多い理由は「仕事内容のミスマッチ」です。
就職活動の段階では、会社説明会や面接などを通じて企業の一面しか見えません。
そのため、「思っていた業務と違う」「成長を実感できない」といったギャップを感じる人が増えています。
● 2. 職場の人間関係や社風に合わない
上司や同僚との人間関係が合わない、職場の雰囲気が自分に合わないと感じて転職を考えるケースも多いです。
特に新卒は社会人としての経験が浅く、周囲との関係構築に悩む傾向があります。
また、リモートワークやオンライン化によってコミュニケーションが減り、孤独感を感じやすくなっているのも現代的な課題です。
● 3. 給与や待遇への不満
生活コストの上昇や情報の透明化により、「自分の給与が業務内容に見合っていない」と感じる人も増えています。
また、副業やフリーランスなど多様な働き方が広まったことで、より柔軟で自分らしい働き方を求める動きも活発になっています。
● 4. 成長できる環境を求めて
「このまま今の会社にいてもスキルアップできない」と感じ、転職を決意する人もいます。
新卒のうちは、将来のキャリアを描くうえでの方向転換がしやすいため、より成長できる環境を求める人が増えているのです。
このように、「新卒で転職する理由」は決して一面的ではありません。
多くの場合、自分の将来を見据えた前向きな選択として行われています。
新卒転職で“成功する人”の3つの特徴
1. 転職の目的が明確である
「辞めたいから辞める」ではなく、「こういうキャリアを築きたいから転職する」という明確な目的を持つ人は成功しやすい傾向にあります。
たとえば、「より専門性を高めたい」「自分の強みを活かせる環境に行きたい」といったポジティブな動機は、面接でも高く評価されます。
2. 現職での経験を言語化できる
短期間の勤務であっても、「どんな仕事をして、何を学んだのか」を説明できる人は信頼を得やすいです。
採用担当者は、離職の早さよりも「その期間にどんな成長をしたのか」を重視します。
たとえ半年であっても、具体的な学びを伝えられれば十分に評価される可能性があります。
3. 自分の強み・適性を理解している
自己分析を通じて、自分の得意分野や価値観を明確にしている人は、ミスマッチのない転職ができます。
「なぜ前職が合わなかったのか」「どんな職場なら力を発揮できるのか」を整理しておくことが、次の職場選びの成功につながります。
成功する人は、勢いではなく“計画的な行動”で転職を進めていることが共通点です。
新卒転職を成功に導くためのポイント
● 第二新卒枠を活用する
新卒1〜3年目であれば、「第二新卒」として採用されるケースが多くあります。
第二新卒はポテンシャル重視の採用が中心であり、短期離職であっても前向きな意欲が伝わればチャンスは十分にあります。
● 転職エージェントやキャリアアドバイザーを活用する
早期転職では、自分だけで判断するよりも、専門家の意見を取り入れることでリスクを減らせます。
第二新卒に特化した転職エージェントを利用すれば、企業選びから面接対策まで一貫したサポートを受けられます。
● 面接では「辞めた理由」より「次への意欲」を重視
面接では「なぜ辞めたのか」ではなく、「そこで何を学び、今後どう活かすのか」を明確に伝えることが重要です。
短期離職でも、成長意欲と前向きな姿勢を示せば、採用担当者の印象は大きく変わります。
● 焦らず冷静に判断する
周囲と比較して焦る必要はありません。
大切なのは、**「今の自分にとって最善の選択は何か」**を考え、情報を整理したうえで行動することです。
まとめ
新卒で転職する人は、今や決して少数派ではありません。
むしろ、早い段階で自分の適性や働き方の方向性に気づけたことは、長期的に見れば大きな強みになります。
大切なのは、「すぐ辞めた」という事実ではなく、「その経験をどう活かすか」です。
データが示すように、新卒転職は当たり前の時代になりつつあります。
自分のキャリアを冷静に見つめ、目的を持って行動すれば、早期の転職でも理想のキャリアを築くことができます。
焦らず、自分にとっての「働きやすさ」と「成長できる環境」を見極めることが、成功への第一歩です。