「転職活動が不安なあなたへ」相談件数1,000件のプロが教える安心ステップ

転職活動を始めようと思ったとき、「このまま今の会社にいていいのかな」「新しい職場でうまくやっていけるだろうか」と、不安で足が止まってしまう方は多いです。私も10年以上キャリア支援に関わる中で、1,000名以上の方からご相談を受けてきましたが、最初の段階で共通していたのは“漠然とした不安”でした。

不安は決して悪いものではありません。むしろ、慎重に物事を考えられている証拠です。けれど、その不安に押しつぶされて何も動けなくなってしまうのは、とてももったいないと感じています。

この記事では、実際の相談現場で多くの方が感じていた不安の正体と、それをやわらげて行動につなげるための「安心ステップ」をご紹介していきます。

なぜ転職活動に不安を感じるのか?よくある3つの心理

まず、転職活動を始める前に不安を抱える理由は、大きく分けて次の3つに集約されると私は感じています。

1. 将来が見えないことへの不安

「今の職場を辞めたら、その先どうなるのか見えない」という気持ち。これはとても自然な感情です。収入や人間関係、働き方がどう変わるのか予測できない状態では、誰だって怖くなってしまいます。

私が相談を受けた中でも、キャリアチェンジや異業種への転職を希望されている方ほど、この「見えない未来」への不安が強い傾向がありました。

2. 自分に合う仕事がわからない不安

「自分に何が向いているのかがわからない」「また同じことで悩むのではないか」という不安もよく聞きます。これまでの経験が必ずしも楽しかったわけではない、だからこそ次は失敗したくないという気持ちは、とてもよく理解できます。

実際、「やりたいことが明確にある人」の方が少数派で、「わからないからこそモヤモヤする」という方のほうが多いです。

3. 周囲との比較による焦りと自信喪失

SNSや職場で「〇〇さんが転職して年収アップしたらしい」「同級生は管理職になった」といった情報を耳にすると、自分と比べて焦ったり、自信をなくしてしまう方もいらっしゃいます。

こういった比較による不安は、実は“自分の基準”を見失っているサインでもあるんです。誰かの人生ではなく、自分の軸に戻ることが大切です。

不安を軽くするための「情報整理」と「自己理解」

不安は、正体がわからないからこそ強くなります。そこで、私がよくお伝えしているのは「まずは頭の中を整理しましょう」ということです。

自分の棚卸しをしてみる

転職活動は、ただ応募するだけではなく、自分のキャリアや強み、価値観を見つめ直す絶好のタイミングです。これまでどんな仕事をしてきて、何が得意で、何が苦手だったのか。紙に書き出してみるだけで、モヤモヤが言語化されていきます。

私が面談で使っているのは、「過去・現在・未来」に分けたキャリアの棚卸しワークです。たとえば、

  • 過去:どんな仕事をして、何を達成したか

  • 現在:今の職場で満足している点、不満な点

  • 未来:どんな働き方・ライフスタイルを望んでいるか

これを一緒に書き出していくと、「不安の正体」が見えてくるんです。

情報を整理し、選択肢を減らす

転職サイトやSNSには情報があふれていて、見れば見るほど混乱してしまうという声もよく聞きます。そんなときは、「自分に必要な情報」と「今はいらない情報」を分けて考えるようにしています。

具体的には、「今すぐ使える行動情報(例:職務経歴書の書き方)」と「将来的な知識として知っておく情報(例:副業・起業など)」に分けてみると、優先順位が整理されてスッキリします。

「行動が怖い」ときに実践できる3つのステップ

転職活動に踏み出したい気持ちはある。でも実際には、「怖くて動けない」という方も少なくありません。そんなときに試してほしい、3つのステップがあります。

ステップ1:小さな行動から始める

「求人に応募する」までいかなくても、まずは転職サイトを見てみる、気になる企業をブックマークする、自己分析ツールを試してみるなど、ハードルの低い行動から始めてOKです。

小さな行動でも積み重ねることで、「自分はちゃんと動けている」という実感が不安を和らげてくれます。

ステップ2:誰かに話してみる

ひとりで考えていると、どんどん視野が狭くなってしまうものです。そんなときは、信頼できる友人やキャリアのプロに話してみてください。

実際、私のところに相談に来られる方の多くが「話すことで整理できました」とおっしゃいます。話す=思考の棚卸しなんです。

ステップ3:他人と比べるのをやめて“自分の基準”をつくる

誰かの成功例やキャリアステップを見て不安になったら、自分の価値観を見直すタイミングです。「自分にとっての幸せとは何か」「理想の働き方はどんなものか」といった“自分軸”を明確にしておくと、ブレずに進めます。

まとめ

転職活動に不安はつきものです。それを完全になくそうとするよりも、「不安があっても動ける状態」を目指すほうが現実的だと思っています。

100%準備が整う瞬間は、なかなかやってきません。だからこそ、「不安でも一歩踏み出す」ことが何より大切です。小さな行動を積み重ね、自分自身の価値観を整理し、必要な情報を取捨選択しながら進めていくことで、少しずつ視界がひらけてきます。

不安な気持ちを否定せず、大切にしながら、一緒に転職活動を前に進めていきましょう。